始めに
始めに
今日は修二と彰「青春アミーゴ」についてレビューを書いていきます。
ジャンル、背景知識
ドラマのテーマとして
この曲はドラマ『野ブタ。をプロデュース』(2005)(原作:白岩玄)のEDテーマとして利用されていました。このドラマの主人公は桐谷修二という名前で、修二というのはおそらくは太宰治(本名:津島修治)、と寺山修司から取っていると思います。二人とも演技性人格障害の傾向がありましたが、本作品は学校やスクールカーストという制度の中で洗練された振る舞いでプレステージを得ていた修二が、ちょっとのきっかけで転落してしまう姿が描かれます。
海外ではこのちょっと前にオースティン『エマ』を原案とする『クルーレス』(95)がありましたが、こちらはオースティンの階級制度を前提とした風習喜劇をスクールカーストに準えてリメイクしてみせた作品です。太宰治を好んだ綿矢りさにも『蹴りたい背中』があり、これもスクールカーストの中での不適切な社交をコミカルに描きます。太宰治という作家は、機能不全家族と伝統的な家族制度の中で、期待される役割を演じることの苦悩の中で『人間失格』のようなグランギニョルな青春物語を手がけました。そんな太宰文学を踏まえて、ドラマ『野ブタ。をプロデュース』は、スクールカーストの中で期待される役割を演じることに慢心と倦怠感を抱いていた主人公の転落が描かれます。
フォーク・ロックの古典主義
そんな作品を彩る「青春アミーゴ」は、新古典主義的なフォルマリスティックなスタイルで、古典的なフォークロック風のアウトローを描く歌詞の綴る世界に彩られたR&B風のポップスです。そんな古典的な装いを真似ることで、学校という制度やそこにおける実践の中で期待される役割を演じ傷つくティーンのナイーブな心象がドライでシニカルに歌い上げられています。
近年では和田アキ子「古い日記」を思わせるフォークロック、R&Bの古典主義的翻案によって、耳年増な思春期の少女の性への期待と不安をコミカルに歌う新しい学校のリーダーズ「大人ブルー」が彷彿とされる内容です。
歌詞、メロディ
アウトローの世界を綴るフォークロック
本作品は吉田拓郎のフォークロックを思わせる、アウトローの世界を描く歌詞になっています。地元では負け知らずで、都会へ上京してきた主人公たちの野心と挫折が描かれます。
フィッツジェラルド、村上龍(『愛と幻想のファシズム』)の作品を思わせる退廃的なピカレスクロマンです。
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