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森田童子「ぼくたちの失敗」解説、レビュー

1970年代
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始めに

始めに

森田童子「ぼくたちの失敗」についてレビューを書いていきます。

背景知識、ジャンル

森田童子

 森田童子は芸名です。なかにし礼の姪っ子(兄の娘)であると知られていますが、私生活についてほとんど明かしておらず、作品の歌詞の内容も本人の伝記的生と一致しない部分が多いです。

太宰治風のフォークロック

 本作はドラマ『高校教師』のテーマ曲となっています。マイク=ニコルズ監督『卒業』のような、グランギニョルな青春物語を展開した『高校教師』でしたが、森田のこの曲は左翼運動の脱落者の心情を語る、フォークロックとなっています。

 太宰治のフォークロックへの影響はかぐや姫、さだまさし作品のメランコリックなムードや女性の一人称的な語り口に現れていると言えますが、本作は左翼運動に失敗した青年の堕落した生活を一人称視点で物語る歌詞で、太宰治『人間失格』や弟子の田中英光に加え、柴田翔の転向文学を思わせます。

ささやきのような歌唱法

 森田童子はその囁くような独特の歌唱法が印象的です。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのニコのような退廃的でエモーショナルな歌声が耳に残ります。堀下さゆり「カゼノトオリミチ」にも通じるところがあります。
 作家で言うならば太宰治のような、リリカルでセンチメンタルな語り口が印象的です。

メロディ、歌詞

人間失格になった主人公

 学生運動という「僕たちの失敗」ののち、そこから立ち直れずに「人間失格」のような状態となって堕落した「僕」がかつての恋人に向けて語りかけるような曲です。

コメント

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